「すみません、こちらに入所申し込みをしたいんですけど」
月に何人もの方が富士山荘に来られます。皆さん、どこか不安げに見えるのは、私の眼に“介護疲れ”のフィルターがかかるせいでしょうか。
こんな電話も珍しくありません。
「今、何番目ですか。あとどれくらいで入れますか」
６月の早朝には、割烹着姿の女性が玄関先で訴えられました。
「もうずいぶん前に申し込んだんだけんど、まだですか。うち、本当に困ってるんです」
富士山荘では、入所希望者様
の実情を把握すべく、アンケート調査を実施しました。結果、入所希望を出されている方の40％は①他の施設に入所 ②死去 ③居所不明…という結果が出ました。
現時点の待機者様は約200名。昨年1年間に新たに入所された方は13名。200名÷13名＝15年以上。ますます追いつめられる方もいらっしゃる数字です。
でも、この数式は正しくあり
ません。入所希望者様のほとんどは他の特養や老健に同時に申し込んでおられます。いざ順番が来てもご家族が入所をためらわれたり、医療的な処置が必要になり、特養では対応できなかったり…で、ご辞退される方も多いのです。したがって、平均すれば２年～３年でどこかの特養や老健に入所していただけると思います。
それまでは居宅のケアマネージャーのアドバイスを参考に、ショートステイやデイサービスを活用し、実はかけがえのない時であるご家族との日々を過ごしていただければと願うばかりです。